よだかの星 小学生向け
宮沢賢治(みやざわけんじ)・1989年
AI生成この訳はAI(claude-sonnet-4-6)が原文から生成したものです(生成日: 2026-07-23)
よだかは、本当にみにくい鳥です。
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よだかは、実にみにくい鳥です。
顔は、あちこちみそをつけたようにまだらで、くちばしはひらたくて、耳のところまでさけています。
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顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
足は、ふらふらとよぼよぼで、少しも歩くことができません。
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足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥たちは、よだかの顔を見ただけで、もういやになってしまうというありさまでした。
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ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。
たとえば、ひばりも、あまりきれいな鳥ではありませんが、よだかよりはずっとましだと思っていましたので、夕方などによだかに会うと、いかにもいやそうに、目をつぶりながら首をそっぽに向けるのでした。
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たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方へ向けるのでした。
もっと小さなおしゃべりな鳥などは、いつでもよだかに向かって正面から悪口を言いました。
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もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。
「へん。またでてきたね。まあ、あのざまをごらんよ。ほんとうに、鳥の仲間の恥さらしだよ。」
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「ヘン。又出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「ね、まあ、あのくちのおおきいことといったら。きっと、かえるの親戚か何かなんだよ。」
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「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」
こんな調子です。
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こんな調子です。
ああ、よだかでなくてただのたかだったなら、こんな半人前の小さな鳥たちは、名前を聞いただけでもぶるぶるふるえて、顔色を変えて、体をちぢめて、木の葉のかげにでもかくれたことでしょう。
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おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉のかげにでもかくれたでしょう。
ところが、よだかはほんとうはたかの兄弟でも親戚でもありませんでした。
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ところが夜だかは、ほんとうは鷹の兄弟でも親類でもありませんでした。
むしろ、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のようなはちすずめ(とても小さくて美しい鳥)のお兄さんだったのです。
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かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のような蜂すずめの兄さんでした。
はちすずめは花のみつを食べ、かわせみはお魚を食べ、よだかは羽虫をとって食べていました。
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蜂すずめは花の蜜をたべ、かわせみはお魚を食べ、夜だかは羽虫をとってたべるのでした。
それに、よだかには鋭いつめも鋭いくちばしもありませんでしたから、どんなに弱い鳥でも、よだかをこわがるはずはなかったのです。
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それによだかには、するどい爪もするどいくちばしもありませんでしたから、どんなに弱い鳥でも、よだかをこわがる筈はなかったのです。
それなら、なぜ「たか」という名がついたのかというと、一つはよだかのはねがとても強くて、風を切って飛ぶときにまるでたかのように見えたこと、もう一つは鳴き声が鋭くて、やはりどこかたかに似ていたためです。
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それなら、たかという名のついたことは不思議なようですが、これは、一つはよだかのはねが無暗に強くて、風を切って翔けるときなどは、まるで鷹のように見えたことと、も一つはなきごえがするどくて、やはりどこか鷹に似ていた為です。
もちろん、たかは、このことをとても気にして、いやがっていました。
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もちろん、鷹は、これをひじょうに気にかけて、いやがっていました。
それで、よだかの顔を見るたびに肩をいからせて、早く名前を変えろ、名前を変えろと言うのでした。
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それですから、よだかの顔さえ見ると、肩をいからせて、早く名前をあらためろ、名前をあらためろと、いうのでした。
ある夕方、とうとう、たかがよだかの家へやってきました。
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ある夕方、とうとう、鷹がよだかのうちへやって参りました。
「おい。いるかい。まだお前は名前を変えないのか。ずいぶんお前も恥知らずだな。お前とおれでは、よっぽど格がちがうんだよ。たとえばおれは、青い空をどこまでも飛んでいく。おまえは、くもってうすぐらい日か、夜でなければ出てこない。それから、おれのくちばしやつめを見ろ。そして、よくお前のとくらべてみるがいい。」
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「おい。居るかい。まだお前は名前をかえないのか。ずいぶんお前も恥知らずだな。お前とおれでは、よっぽど人格がちがうんだよ。たとえばおれは、青いそらをどこまででも飛んで行く。おまえは、曇ってうすぐらい日か、夜でなくちゃ、出て来ない。それから、おれのくちばしやつめを見ろ。そして、よくお前のとくらべて見るがいい。」
「たかさん。それはあんまりひどい話です。私の名前は私が勝手につけたのではありません。神さまからいただいたのです。」
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「鷹さん。それはあんまり無理です。私の名前は私が勝手につけたのではありません。神さまから下さったのです。」
「いいや。おれの名なら、神さまからもらったのだと言ってもいいだろうが、お前のは、言わば、おれと夜と、両方から借りているんだ。さあ返せ。」
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「いいや。おれの名なら、神さまから貰ったのだと云ってもよかろうが、お前のは、云わば、おれと夜と、両方から借りてあるんだ。さあ返せ。」
「たかさん。それは無理です。」
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「鷹さん。それは無理です。」
「無理じゃない。おれがいい名前を教えてやろう。市蔵(いちぞう)というんだ。いい名前だろう。それで、名前を変えるには、改名のお披露目(おひろめ)というものをしないといけない。いいか。それはな、首に市蔵と書いたふだをぶらさげて、「私はこれから市蔵と申します」と口上(ごあいさつ)を言って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」
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「無理じゃない。おれがいい名を教えてやろう。市蔵というんだ。市蔵とな。いい名だろう。そこで、名前を変えるには、改名の披露というものをしないといけない。いいか。それはな、首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、私は以来市蔵と申しますと、口上を云って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」
「そんなことはとても出来ません。」
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「そんなことはとても出来ません。」
「いいや。出来る。そうしろ。もしあさっての朝までに、お前がそうしなかったら、もうすぐつかみ殺すぞ。つかみ殺してしまうから、そう思え。おれはあさっての朝早く、鳥たちの家を一軒ずつまわって、お前が来たかどうかを聞いてあるく。一軒でも来なかったという家があったら、もうお前もその時がおしまいだぞ。」
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「いいや。出来る。そうしろ。もしあさっての朝までに、お前がそうしなかったら、もうすぐ、つかみ殺すぞ。つかみ殺してしまうから、そう思え。おれはあさっての朝早く、鳥のうちを一軒ずつまわって、お前が来たかどうかを聞いてあるく。一軒でも来なかったという家があったら、もう貴様もその時がおしまいだぞ。」
「だってそれはあんまりひどいじゃありませんか。そんなことをするくらいなら、私はもう死んだほうがましです。今すぐ殺してください。」
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「だってそれはあんまり無理じゃありませんか。そんなことをする位なら、私はもう死んだ方がましです。今すぐ殺して下さい。」
「まあ、よく、あとで考えてごらん。市蔵なんてそんなにわるい名じゃないよ。」
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「まあ、よく、あとで考えてごらん。市蔵なんてそんなにわるい名じゃないよ。」
たかは大きなはねをいっぱいに広げて、自分の巣の方へ飛んで帰って行きました。
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鷹は大きなはねを一杯にひろげて、自分の巣の方へ飛んで帰って行きました。
よだかは、じっと目をつぶって考えました。
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よだかは、じっと目をつぶって考えました。
(いったい僕は、なぜこんなにみんなにいやがられるのだろう。
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(一たい僕は、なぜこうみんなにいやがられるのだろう。
僕の顔は、みそをつけたようで、口は耳までさけているからなあ。
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僕の顔は、味噌をつけたようで、口は裂けてるからなあ。
それだって、僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。
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それだって、僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。
赤ちゃんのめじろが巣から落ちていたときは、助けて巣へ連れていってやった。
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赤ん坊のめじろが巣から落ちていたときは、助けて巣へ連れて行ってやった。
そしたらめじろは、赤ちゃんをまるでどろぼうからでも取り返すように僕から引きはなしたんだなあ。
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そしたらめじろは、赤ん坊をまるでぬす人からでもとりかえすように僕からひきはなしたんだなあ。
それからひどく僕を笑ったっけ。
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それからひどく僕を笑ったっけ。
それにああ、今度は市蔵だなんて、首にふだをかけるなんて、つらいはなしだなあ。)
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それにああ、今度は市蔵だなんて、首へふだをかけるなんて、つらいはなしだなあ。)
あたりは、もううすぐらくなっていました。
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あたりは、もううすくらくなっていました。
よだかは巣から飛び出しました。
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夜だかは巣から飛び出しました。
雲が意地悪く光って、低くたれています。
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雲が意地悪く光って、低くたれています。
よだかはまるで雲とすれすれになって、音もなく空を飛びまわりました。
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夜だかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。
それからにわかによだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のように空を横切りました。
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それからにわかによだかは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、まるで矢のようにそらをよこぎりました。
小さな羽虫が何匹も何匹もその喉に入りました。
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小さな羽虫が幾匹も幾匹もその咽喉にはいりました。
体が地面につくかつかないうちに、よだかはひらりとまた空へはねあがりました。
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からだがつちにつくかつかないうちに、よだかはひらりとまたそらへはねあがりました。
もう雲はねずみ色になり、向こうの山には山焼けの火がまっ赤です。
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もう雲は鼠色になり、向うの山には山焼けの火がまっ赤です。
よだかが思い切って飛ぶときは、空がまるで二つに切れたように思われます。
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夜だかが思い切って飛ぶときは、そらがまるで二つに切れたように思われます。
一匹のかぶとむしが、よだかの喉に入って、ひどくもがきました。
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一疋の甲虫が、夜だかの咽喉にはいって、ひどくもがきました。
よだかはすぐそれを飲みこみましたが、そのとき何だか背中がぞっとしたように思いました。
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よだかはすぐそれを呑みこみましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思いました。
雲はもうまっくろく、東の方だけ山焼けの火が赤くうつって、恐ろしいようです。
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雲はもうまっくろく、東の方だけ山やけの火が赤くうつって、恐ろしいようです。
よだかは胸がつかえたように思いながら、また空へのぼりました。
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よだかはむねがつかえたように思いながら、又そらへのぼりました。
またもう一匹のかぶとむしが、よだかの喉に入りました。
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また一疋の甲虫が、夜だかののどに、はいりました。
そしてよだかの喉をひっかいてばたばたしました。
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そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。
よだかはそれを無理に飲みこんでしまいましたが、そのとき、急に胸がどきっとして、よだかは大声をあげて泣き出しました。
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よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、夜だかは大声をあげて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐると空をめぐったのです。
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泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。
(ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
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(ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
そして、その虫を殺すただ一つの僕が、今度はたかに殺される。
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そしてそのただ一つの僕がこんどは鷹に殺される。
それがこんなにつらいのだ。
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それがこんなにつらいのだ。
ああ、つらい、つらい。
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ああ、つらい、つらい。
僕はもう虫を食べないで、食べられなくて死のう。
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僕はもう虫をたべないで餓えて死のう。
いや、その前にもうたかが僕を殺すだろう。
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いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。
いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向こうに行ってしまおう。)
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いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう。)
山焼けの火は、だんだん水のように流れて広がり、雲も赤く燃えているようです。
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山焼けの火は、だんだん水のように流れてひろがり、雲も赤く燃えているようです。
よだかはまっすぐに、弟のかわせみの所へ飛んでいきました。
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よだかはまっすぐに、弟の川せみの所へ飛んで行きました。
きれいなかわせみも、ちょうど起きて遠くの山火事を見ていたところでした。
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きれいな川せみも、丁度起きて遠くの山火事を見ていた所でした。
そしてよだかが降りてきたのを見て言いました。
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そしてよだかの降りて来たのを見て云いました。
「お兄さん。こんばんは。何か急のご用ですか。」
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「兄さん。今晩は。何か急のご用ですか。」
「いいや、僕は今度遠い所へ行くからね、その前にちょっとお前に会いに来たよ。」
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「いいや、僕は今度遠い所へ行くからね、その前一寸お前に遭いに来たよ。」
「お兄さん。行っちゃいけませんよ。はちすずめもあんな遠くにいるんですし、僕がひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
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「兄さん。行っちゃいけませんよ。蜂雀もあんな遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
「それはね。どうも仕方ないのだ。もう今日は何も言わないでくれ。そしてお前もね、どうしてもとらなければならないとき以外は、むやみにお魚を取ったりしないようにしてくれ。ね、さようなら。」
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「それはね。どうも仕方ないのだ。もう今日は何も云わないで呉れ。そしてお前もね、どうしてもとらなければならない時のほかはいたずらにお魚を取ったりしないようにして呉れ。ね、さよなら。」
「お兄さん。どうしたんです。まあもうちょっとお待ちなさい。」
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「兄さん。どうしたんです。まあもう一寸お待ちなさい。」
「いや、いつまでいても同じだ。はちすずめへ、あとでよろしく言っておいてくれ。さようなら。もう会わないよ。さようなら。」
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「いや、いつまで居てもおんなじだ。はちすずめへ、あとでよろしく云ってやって呉れ。さよなら。もうあわないよ。さよなら。」
よだかは泣きながら自分の家へ帰っていきました。
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よだかは泣きながら自分のお家へ帰って参りました。
短い夏の夜はもう明けかかっていました。
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みじかい夏の夜はもうあけかかっていました。
しだ(葉のきれいな植物)の葉は、夜明けのきりをすって、青くつめたくゆれました。
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羊歯の葉は、よあけの霧を吸って、青くつめたくゆれました。
よだかは高くキシキシキシと鳴きました。
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よだかは高くきしきしきしと鳴きました。
そして巣の中をきちんと片づけ、きれいに体中のはねや毛を整えて、また巣から飛び出しました。
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そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また巣から飛び出しました。
きりがはれて、お日さまがちょうど東からのぼりました。
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霧がはれて、お日さまが丁度東からのぼりました。
よだかはぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んでいきました。
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夜だかはぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、矢のように、そっちへ飛んで行きました。
「お日さん、お日さん。どうか私をあなたの所へ連れていってください。焼けて死んでもかまいません。私のようなみにくい体でも、焼けるときには小さな光を出すでしょう。どうか私を連れていってください。」
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「お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい。」
どこまで飛んでいっても、お日さまは近くなりませんでした。
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行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。
かえってだんだん小さく遠くなりながら、お日さまが言いました。
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かえってだんだん小さく遠くなりながらお日さまが云いました。
「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今夜空を飛んで、星にそうたのんでごらん。お前は昼の鳥ではないのだからな。」
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「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今度そらを飛んで、星にそうたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな。」
よだかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。
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夜だかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。
そしてまるで夢を見ているようでした。
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そしてまるで夢を見ているようでした。
体がずうっと赤や黄色の星のあいだをのぼっていったり、どこまでも風に飛ばされたり、またたかが来て体をつかんだりしたようでした。
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からだがずうっと赤や黄の星のあいだをのぼって行ったり、どこまでも風に飛ばされたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。
つめたいものがにわかに顔に落ちました。
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つめたいものがにわかに顔に落ちました。
よだかは目をひらきました。
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よだかは眼をひらきました。
一本の若いすすきの葉から露(つゆ)がしたたったのでした。
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一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。
もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。
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もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。
よだかは空へ飛びあがりました。
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よだかはそらへ飛びあがりました。
今夜も山焼けの火はまっかです。
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今夜も山やけの火はまっかです。
よだかはその火のかすかな明かりと、つめたい星の光の中をとびめぐりました。
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よだかはその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。
それからもう一度飛びめぐりました。
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それからもう一ぺん飛びめぐりました。
そして思い切って、西の空のあの美しいオリオン座の方に、まっすぐに飛びながら叫びました。
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そして思い切って西のそらのあの美しいオリオンの星の方に、まっすぐに飛びながら叫びました。
「お星さん。西の青白いお星さん。どうか私をあなたのところへ連れていってください。焼けて死んでもかまいません。」
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「お星さん。西の青じろいお星さん。どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。」
オリオン座は勇ましい歌を続けながら、よだかなどまるで相手にしませんでした。
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オリオンは勇ましい歌をつづけながらよだかなどはてんで相手にしませんでした。
よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一度とびめぐりました。
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よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺんとびめぐりました。
それから、南の大犬座(おおいぬざ)の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
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それから、南の大犬座の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
「お星さん。南の青いお星さん。どうか私をあなたの所へ連れていってください。焼けて死んでもかまいません。」
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「お星さん。南の青いお星さん。どうか私をあなたの所へつれてって下さい。やけて死んでもかまいません。」
大犬座は青や紫や黄色に美しく、せわしなくまたたきながら言いました。
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大犬は青や紫や黄やうつくしくせわしくまたたきながら云いました。
「ばかを言うな。おまえなんか一体どんなものだい。たかが鳥じゃないか。おまえのはねでここまで来るには、億年兆年億兆年かかるぞ。」
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「馬鹿を云うな。おまえなんか一体どんなものだい。たかが鳥じゃないか。おまえのはねでここまで来るには、億年兆年億兆年だ。」
そしてまた別の方を向きました。
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そしてまた別の方を向きました。
よだかはがっかりして、よろよろと落ちて、それからまた二回飛びめぐりました。
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よだかはがっかりして、よろよろ落ちて、それから又二へん飛びめぐりました。
それからまた思い切って北の大熊座(おおぐまざ)の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
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それから又思い切って北の大熊星の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
「北の青いお星さま、あなたの所へどうか私を連れていってください。」
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「北の青いお星さま、あなたの所へどうか私を連れてって下さい。」
大熊座はしずかに言いました。
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大熊星はしずかに云いました。
「よけいなことを考えるものではない。少し頭を冷やしなさい。そういうときは、氷山(ひょうざん)の浮いている海の中へ飛び込むか、近くに海がなかったら、氷を浮かべたコップの水の中へ飛び込むのが一番だ。」
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「余計なことを考えるものではない。少し頭をひやして来なさい。そう云うときは、氷山の浮いている海の中へ飛び込むか、近くに海がなかったら、氷をうかべたコップの水の中へ飛び込むのが一等だ。」
よだかはがっかりして、よろよろと落ちて、それからまた四回空をめぐりました。
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よだかはがっかりして、よろよろ落ちて、それから又、四へんそらをめぐりました。
そしてもう一度、東から今のぼった天の川(あまのがわ)の向こう岸の、わし座の方へ叫びました。
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そしてもう一度、東から今のぼった天の川の向う岸の鷲の星に叫びました。
「東の白いお星さま、どうか私をあなたの所へ連れていってください。焼けて死んでもかまいません。」
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「東の白いお星さま、どうか私をあなたの所へ連れてって下さい。やけて死んでもかまいません。」
わし座は大きな声で言いました。
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鷲は大風に云いました。
「いいや、とてもとても、話にも何にもならん。星になるには、それにふさわしい身分でなくちゃいかん。それにずいぶんお金もいるのだ。」
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「いいや、とてもとても、話にも何にもならん。星になるには、それ相応の身分でなくちゃいかん。又よほど金もいるのだ。」
よだかはもうすっかり力を落としてしまって、はねを閉じて、地に落ちていきました。
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よだかはもうすっかり力を落してしまって、はねを閉じて、地に落ちて行きました。
そして、もう少しで弱い足が地面につくというとき、よだかはにわかに狼煙(のろし)のように空へとびあがりました。
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そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくというとき、よだかは俄かにのろしのようにそらへとびあがりました。
空のなかほどへ来て、よだかはまるでわしが熊を襲うときするように、ぶるっと体をゆすって毛をさかだてました。
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そらのなかほどへ来て、よだかはまるで鷲が熊を襲うときするように、ぶるっとからだをゆすって毛をさかだてました。
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。
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それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。
その声はまるでたかのようでした。
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その声はまるで鷹でした。
野原や林にねむっていたほかの鳥たちは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、不思議そうに星空を見あげました。
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野原や林にねむっていたほかのとりは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、いぶかしそうにほしぞらを見あげました。
よだかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼっていきました。
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夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。
もう山焼けの火はたばこのすいがらくらいにしか見えません。
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もう山焼けの火はたばこの吸殻のくらいにしか見えません。
よだかはのぼってのぼっていきました。
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よだかはのぼってのぼって行きました。
寒さで息は胸の中で白く凍りました。
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寒さにいきはむねに白く凍りました。
空気がうすくなったために、はねをそれはそれはせわしく動かさなければなりませんでした。
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空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。
それなのに、星の大きさは、さっきと少しも変わりません。
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それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。
吐く息はふいごのようです。
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つくいきはふいごのようです。
寒さや霜(しも)がまるで剣のようによだかを刺しました。
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寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。
よだかははねがすっかりしびれてしまいました。
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よだかははねがすっかりしびれてしまいました。
そして涙でにじんだ目をあげて、もう一度空を見ました。
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そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。
そうです。
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そうです。
これがよだかの最後でした。
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これがよだかの最後でした。
もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。
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もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。
ただ心もちはやすらかで、血のついた大きなくちばしは横にまがってはいましたが、たしかに少しわらっていました。
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ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました。
それからしばらくたってよだかははっきりと目をひらきました。
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それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分の体が今、りんの火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
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そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、カシオピア座でした。
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すぐとなりは、カシオピア座でした。
天の川の青白い光が、すぐうしろになっていました。
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天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。
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そしてよだかの星は燃えつづけました。
いつまでもいつまでも燃えつづけました。
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いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。
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今でもまだ燃えています。